子犬を「買う」こと自体は悪いことではないけど、その際は親犬たちの生活をしっかりみてワン!
「どんぐり」「リマ」「マルコ」「こまち」「チェロ」「コア」と今はそれぞれ名前を持つワンちゃんがいます。
みんな、今まで私がボランティアでお世話した子たちです。
甘えん坊だったり、目がくりっとしていたり、癒し系だったり、明るく真っ直ぐだったり、それぞれが言い出したらキリがないほどの魅力と個性に溢れていて、今は各家庭で幸せに過ごしています。
でも、それはごく最近の話。
生まれてからの約5~10年間、ずっと狭いケージで生かされていた繁殖用の犬でした。
ペットショップの店頭に並んでいる可愛いパピーちゃんの背後には、このように長年繁殖犬として使われ、その間に健康を失い、最後には棄てられる親犬たちがいます。
「パピーミル」で検索すると写真が見られます
最初から親犬たちを使い終わったら放棄するつもりでいる業者は、親犬たちを大切に扱いません。
吠え声を減らすために親犬の声帯を潰す悪質な業者もいます(どんぐりくん、マルコくんは声帯を切られていました)。
保護時の様子からは、狭く不潔な狭い空間で長年飼われていた可能性が高く、もともとは健康な子でも、狭いケージで十分に運動もさせてもらえずに何年もいると、骨が曲がったり、歯は溶けてしまったりします。でも、親犬たちは治療を受けられるわけではありません。業者にとっては利益になる子供さえ健康だったらいいからです。
(全員歯周病がひどく、歯をたくさん抜きました。マルコ君、チェロ君は歯が一本も残りませんでした。)
繁殖犬たちを保護しても、また新しく、別の健康な子犬が繁殖犬になって閉じ込められていて、不幸なループは現在も変わることなく続いています。
不幸な親犬たちは誰のせい?
親犬たちを大切にしない大きな原因は、可愛い子犬だけを店頭で見せておけば販売できてしまうこと。
ペットショップで「買う」お客さんは目の前の子犬しか見ないため、親犬の生活の確認はしません。
親犬がどんなに酷い環境で健康を失っていても、それは見せないで(見ないで)済む仕組みになっています。
多くの人が目の前の仔犬や仔猫さえ可愛ければ買っていくので、悪質な業者は親犬にコストをかけずに繁殖だけさせ、利益を上げています。
儲かっている以上は、彼らもビジネスをやめません。
ペットショップで仔犬を買うことは、親犬を苦しめている繁殖業者らの活動が続く様に応援する行為なのかもしれません。
わたちたちにできるのは、悪質な業者を応援しないことだわん!
子犬を買う時は、おうち(親犬の実際の飼育環境)をみよう!
前述の通り、ペットショップやネットのブリーダー販売の裏には過酷な親犬らの生活があるのが現実です。
そのような巧みなビジネスから犬たちを助けるためには、消費者が賢くなるのが最も効果的です。
方法はシンプル!
子犬を飼う際は、親犬も大切にしているところから買うようにしましょう。
皆が「親犬も大切にしているところからしか子犬は買わない」と言えば、ビジネスも健全な姿に変わっていくでしょう。
買う人がいなくなって利益にならないと分かれば、業者も止めるか改めるしかないからです。
確認するところ
ブリーダーの言葉ではなく、行動や実際の環境を、直接自分の目で見ましょう。
「仔犬」だけではなく、「親犬」と「親犬の実際の飼育環境」も見せてもらいましょう。
清潔な環境で生活していますか?名前を呼んだら嬉しそうに近づいてきたり、人との関わりが見えて幸せな雰囲気がありますか?お散歩ができるか等繁殖以外の社会生活を営んでいるワンちゃんか確認しましょう。
(※別室、写真で口頭だけではなく直接ご自身の目で確認しましょう)
プロが丁寧にお世話している親犬ならば健康なはずです。肌や口内環境を確認しましょう。汚れや変な臭いはしていませんか?
そのブリーダーは動物愛護法の終生飼養を守っていますか?「子犬の親犬たちの生涯を最後までどのように看取っているのですか?」と確認してみましょう。犬に赤ちゃんを産んでもらって利益を上げている人たちの責任が問われる答えです。
責任ある人たちがすること
お金さえ出せば誰でも買えるところで売るのは、子犬の安全を守る責任を放棄した無責任な繁殖業者の可能性が高いです。
通常、責任あるブリーダーは仲介を通した店頭では子犬を売りませんし、安易に輸送することもありません。
ずっと働いてくれた親犬たちにも時間とお金を生涯かけてお世話したり道筋をつけています。
買い手は直接ブリーダーの家を訪ね、親犬と子犬が育った環境を見せてもらえますし、ブリーダーも大切な子犬の一生を預ける飼い主候補がどんな人なのか、直接会って確認します。
大切な家族となる「命」なので、そのバトンが来た場所や行く先に、買う側も売る側も丁寧に向き合うのが普通ではないでしょうか。
もし、今飼っている愛犬は親犬を確認せずにペットショップで購入した子だとしても、そのことで自分を責める必要はありません(恥ずかしながら、私も現状を知ったのは最近です)。
それよりも、悪質な繁殖ビジネスをなくすために、一人でも多くの人に「子犬を買うときは親犬が大切にされているか確認してね」と伝えてください。
それが仔犬を産んでいる親犬たちを助けることに繋がります。
幸福な体験で、不幸を作らないように
ペットを家庭に迎え入れることは、とても嬉しく幸せな体験です。
だからこそ、自分たちの幸せな決断が、他の犬たちの不幸を助長したりしないよう、子犬を飼う際は、必ず親犬たちの実際の生活環境を見て、大切にされているかを直接自分の目で確認してからにしましょう。
犬を飼う際には、保護犬を迎えるのも1つの方法ワン。
みんなの一滴でできること
もしも、ペットショップの前で、目の前の子犬の可愛さに衝動的になったり、数少ない優良ブリーダーさんを探すのが面倒だと思った時は、思い出してください。
自分たちが支払うお金で、誰がどんなことをするのを、応援しようとしているのか、を。
そして、今購入しようとしている商品は「命」であり、あなたと同じように必ず両親がいて、名前を持たない親犬たちにも等しく価値のある「命」があるということを。
マザーテレサの言葉を残します。
私たちがやっていることが大海の一滴にすぎないことは、知っています。
マザー・テレサ(インド)
しかし、大海はその一滴分、減っているのです。
自分という一滴を、
「わたし一人ぐらいはいいだろう」と、犬たちを苦しめ続ける方に垂らすのか、
「わたし一人だけでも」と、犬たちを助ける一滴となるかで、
私たちを幸せにしてくれているペットたちの未来が変わります。
「親犬も大切にしているところからしか子犬は買わない」と皆が言えば、ビジネスも健全な姿に変わっていくでしょう。
わたしたちの一滴一滴は、必ず流れとなり、川となり、やがて新しい海となるはずです。
なんでも汚したり傷つけたり非難するのは一瞬で簡単だけど、それを掃除したり治したりするのは何倍もの時間がかかるものだワン。
面倒かもしれないけど、それはたくさんの犬たちが助かるからだワン。
最後に、
今もなおどこかのケージの中で体を動かせずに立ちすくしたまま時間を過ごしている、かつてのどんぐりくん、リマちゃん、マルコくん、こまちちゃん、チェロくん、コアくんのように、まだ名前を持たない繁殖犬達を想いながら、
その子達と、今後その子たちの代わりに閉じ込められていく子たちに、一刻でも早く、みんなからの一滴が届くことを願って。
みんな、子犬を飼うときは親犬のおうちと様子を直接見てほしいワン!周りのお友達にも伝えてね!
イラスト:Kotomi Sato
Kotomi Sato
1997年生まれ。東京都在住。2020年より東京を拠点に活動。アーティスト向けのCDジャケット、やポスター、企業向けのインフォグラフィック、プロダンサー向けのリーフレットなどを中心に手掛ける。
また、今年よりアートにも力を入れ、京都や東京などでも個展を開催する。
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